「次回にでも」と〆ながら中途半端にしていた記事がいくつかあるんだけどなぁ~と
気になりつつ今日まできてしまった。
例えば、夏真っ盛りに書いた
「香港ヤン、ドンだけ美食博覧、好きなのよっ!」
も途中になっていたまま、時は既にまもなく
新しい年を迎えようとしておりますが気を取り直して、その続き。
展示会、商談会、販路拡大などの目的で多くの日本企業が香港を訪れます。
特に食品関係は香港中、高級スーパーから地元系小売店まで至る所に日本製品はあり
日本の食品を目にしない日というのは、香港ではおそらく存在しないのではないでしょうか。
さて、当然、小売店に並ぶまでに各メーカーさん、商社さん、卸さんなど、
香港のバイヤー候補と商談する機会がありますね。
売り手側の皆さんは、大体の場合、商品の特徴とか、どれだけ優れているかとか
そのアイテムがどれだけ美味しいかという事を中心に売り込みをされると思います。
もちろん、商品そのものにストーリー性があるのはブランディングとして
とても大切だと思います。
がっ!一方で、香港側のバイヤー候補が知りたい事は
「で?どれだけ、ワタシは儲かるの??」
と、いう事だと思うのです。
まぁ、それは極端としても
仕入れは幾ら、香港での売値は幾ら
この商品が売れた場合、自社の利益は幾らになるのか。
そして今日、今ここで数点でも仕入れができるのか。
もうね、その場で知りたいし、これはっ!と思った商品はすぐ仕入れて試したい。
香港で商売している人は基本、セッカチさん、多いしね。
そして更に気になる部分は
その商品を扱った場合、相手と仕事のテンポが合うか(←香港のテンポは速いのよ!)
プロモーション支援など売り手側からサポートはあるのか、
自分が小売をする上で、より売りやすい体制をとってくれる相手は誰なのか、
買い手の自分が類似商品ではなくその商品を扱った場合の利点は何なのか。
食品関連ではないですが、今、流行のインバウンドビジネスの記事を興味深く読みました。
NIKKEI BUSINESS ONLINE
香港人が和歌山を好むワケ 地方送客のカギは「ユーザーイン」の視点
記事内のタイの旅行代理店企画担当者のコメント
「そもそも、名産や名所を掲げているが、正直ほかの自治体との違いが分からない。
『△×県に来てください!』と言われても、タイの一般人からすれば『どこ?』というレベル。
それだけでツアーを1つ作るほどの魅力には欠けるため、プランを組むのは難しい」
(タイの旅行代理店企画担当)
最近お会いした土佐の酒蔵さんも興味深い事を仰っていました。
「我々売り手はもちろん自分とこの酒に自信を持ってこうして海外に挑戦していくけど、でも、買い手からしてみれば、此れだけ日本酒の数が山のようにあって
次から次への売り込みも来て、酒そのものの違いってのはもちろん重要だけど
実際のところ『一体どれを選んだらいいの?どれも此れも似たようなものじゃん』
と、感じているだろうなぁ~、それであれば相手との仕事の相性も大切だよな」と。
実際、そうなのです。
もちろん、それだけではないし、
1つ1つの商品を勉強し、検討し、惚れ込んで仕入れをするという人も
当然いるとは思いますが、商売は商売。
現実問題として家賃高世界一の不健康な今の香港でビジネスを健全に回してゆくには
ゆっくり検討して、時間を掛けてブランディングしてと
言っていられないのも事実。
売り手が買い手の、その部分に気づいているかどうかというのは
とても大きな差があるように思うのです。
冒頭の「仕入れは幾らで香港での小売価格はおおよそ幾らくらいになる商品か」関連でもう1つ。
展示会や商談会では「今回が初めての海外商談会で香港での小売価格予測は全くできません」
という企業も時々見受けられます。
流通経路や取引条件などによって小売価格が変わるので
それはそれで正直な返答だと思います。
それと同時に、該当商品のコンペティターや類似商品が香港の市場でどれくらいで売られているか
そういう情報だけでも買い手にとって大よその目安になるのではないかと感じます。
日本の方々は正確さに敏感なので他の商品と比べたところで
うちの商品には当てはまらないと気にされる方も多いと想像しますが
どうだろう、香港の買い手にとっては、その商品の類似商品などの
アイデアがあったらそれはそれで情報の1つとして助かるのではないかな。
展示会前は色々準備で忙しい為
展示会、商談会が終わった後に香港市場調査を兼ね
小売店回りする方も多いようですが、逆に2、3日前のりして
商談前に小売店を回り、類似商品の小売価格をチェック、
商談会で訊ねられた場合に「この商品の小売価格予測は難しいですが、
類似商品のどこそこのこれこれが、あそこのお店でこれくらいでした」
というコメントなどがあれば買い手側も、ああ、なるほどね。と
様々な事をザクッと考える事もできるかと思います。
なんてっったって、とどのつまり買い手は(←特に香港では!)
「それで、どれだけ、ワタシは儲かるの?」
という部分、とても、とても気になるわけです。
「取らぬ狸の皮算用」とは、香港ヤンの為にあるような諺なのでございます。
SOGO, AEON, CITY SUPER, YATA, 759, PAKEnSHOP, WELLCOME
高級果物の場合には九龍城果物街一角。
香港は狭く効率よく回れるので商談会の前に少し回ってみるのもよろしいかと。
「そして今日、今ここで数点でも仕入れができるのか」という買い手の想いに対し
実際のところ、商談会が行われている場所や主催者の関係上
金銭のやりとりが絡む行いは禁止されている場合も多々ありますね。
ただ、香港バイヤー、特にバイヤーが個人商店の場合には
その背景を知らない事も多いので、折角興味を持ってくれたバイヤーには
stay behind中に自力で届けるくらいの体制を整えるのもいいかもしれません。
今日も思いのほか長くなりましたので
次回、機会を見つけて「感覚の差」のお話など。