香港、食、旅、仕事と時々日本

ごくごく普通の香港の生活。食、旅、仕事、語学と日本、時には経済的自由を考える。他人に厳しく自分に甘くが基本姿勢の毒舌日記、乱暴な言葉もでてきますゆえ自己判断にてご覧くださいませ。旧Hong Kong Days

雨傘運動:2014年10月1日、香港に居合わせて思うこと。

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休みの日にPCを触る事や

facebookにログインする事は本意ではありませんが

2014年10月1日という、香港にとって重要な日となるであろう

この日に香港に居合わせたので今の気持ちを書いておいてもいいかなと思い立った。

今の気持ちだもの、明日も同じ気持ちかどうかなんてわからない。




香港で行われているデモ4日目。

一番恐れていた事が、昨夜辺りからポツポツ見えはじめた。

デモ参加者と、こういう形のデモは有意義ではないと考える

香港人同士のぶつかり合い。

デモ参加者に対してタマゴを投げつける人や

集会の場に車を走らせる人も出始めた。




自分は今回のデモに対し応援するでも、しないでも、どちらでもないという

ずるい立場をとっている。

それは、香港にとって何が一番なのか自分にはよくわからないからだ。

今、自分にはっきりわかるのは先日も書いたように

約束された2047年というのはそう遠くない将来

必ずやってくるという事。

そして願いは人々の安全と、その2047年が来た時に、

今、デモに参加している学生たちが、何らかの形で

生き辛い思いをする事がないようにと、そう願う。



私たちが子供の頃と違ってインターネットという物がある今の世界は

全てが記録に残り過去は決して消せない。

ネットの世界というのは便利で、そして恐しくもあり勝手なものだ。

大体の場合、全体像が語られることはほとんどなく、

今回のデモだって、これから先、地球が存在する限り

彼らの記事や写真は、一部を切り取られ参照され、

話し手の都合のいい様に、余分な部分はトリミングされ

次世代、また、その次の世代へと永遠に語り継がれてゆく。

今は「革命児たち」「現代のジャンヌ・ダルク」と呼ばれている学生たちが

何かふとしたことがきっかけで

リマークス欄に「要注意人物」という但し書きを加えられ

不当な人生を送ることなどないようにと、切に願う。




天然資源を持たない、人口800万人弱のこの香港が

2047年に香港でい続けるためには

経済を回し続ける事

諸外国にとって投資すべき魅力的場所であり続ける事

他の都市では代替の効かない都市であり続ける事

中国やアジアの足場としてやっぱり香港は外せないよねと

諸外国に思ってもらい続ける事

そういう事が大切な要素になってくると思う。



香港が将来、他のどんな都市にも取って代わられないようにする為に

好むと好まざるとに関わらず

中国との太いパイプが必要だ。

他所からチョッカイ出されたところでビクともしない

皹も入らない、丈夫な、そして決して従属的立場ではない

バランスの取れた真っ直ぐなパイプが必要なんだと

政界や経済界は今、必死で動いているんだと信じたい。



あの中国と対等に渡り歩いていくには

「今後、中国のビジネスは全て香港を通してください!」と

平然と言ってのけるくらいの、強かさがないとやっていけないのだと、

「やっぱり直接中国と付き合うなんて無理無理無理、香港通さないと無理ですわ」と、

世界各国に思わせるくらいでないといけないと

香港の大人の多くはわかっているから、自分たちの子供らがその将来、

必ず必要となる中国とのパイプを今、必死で完成させようとしている。

香港は中国の一部、それを変えてあげることはできないけれど

その背負った運命を悲観するのではなく、せめてアドバンテージとして

子供たちに残してあげたい。

そう思って動いている人は多いと思う。



社会人には、その立場によって

はっきり言っていい事と、それはできない事とある。



英国植民地時代を生きた香港人。

いい事もあっただろうし、悔しい思いもしただろう。

それでも、お互い腹の中を探りつつ旨くバランス良く生きてきた。

そして1997年7月1日、あの日を迎えた。

そんな時代を生きてきた香港の猛者集団が自分たちの子供に伝えたいことは

「真っ向からぶつかる事が必ずしもベストとは限らない」

「全てを全身で表すことが得策でない事もある」

という事も含まれるのではないかと思う。



今回のこのデモ、参加する人しない人。

応援する人しない人。

両方の気持ちがわかる。

政府も警察も学生もデモ参加者も、誰も暴力的な事は望んでいないし

そうした方向に向かうとは思わない。

ただ、デモが1日伸びれば伸びるほど香港の体力や競争力は弱まってゆく、

そして諸外国からみた場合、投資先としての魅力は減少してゆく。

それは社会人であれば誰もが理解できることだろう。



今の香港は中国をはじめ外資なくして経済が成り立たないのは周知の事実。

10月1日からの中国の黄金週間に向け

小売業各店、仕入れも済ませ、さぁ1年のうちで一番の書き入れ時という

この時期に閉店を余儀なくされている人々がいる。

香港資本の方々からは、香港の未来の為だ致し方ないと、そうした意見ももちろんある。

一方、家賃だけでも月に何百万、何千萬と支払っている外資系店舗も多くある香港。

香港の完全民主化支持!と、その支持はするけれど

ちょっと、ほんとに勘弁してよっ!

閉店を余儀なくされたこの期間、

家賃の負担、誰がみてくれるのですか?

と、心配している人も少なくないだろうと想像する。

形は違えど、道は違えど、皆、それぞれ、必死なんだよね。

地場の企業では高くてどうにもならない賃貸物件も

外資がテナントとして入って、香港にも雇用が生まれ、

そこでお客様がお金を使い、香港の経済が回ってゆく。



アジアに生まれ育った私たちにとって

香港は慣れ親しんだ場所であり、中国とは似ても似つかない

香港は香港なのだと知っている。

でも、遠い遠い諸外国の人々にとってはどうか。

アンドラ公国とスペイン、フランス。

プエルトリコとアメリカ合衆国。

マルタとイギリス、イタリア。

スイスとEUの関係にしても、

遠いところに住む日本人の我々には少しわかりづらいように、

香港と中国の関係というのは、彼らとって理解しにくいものだと思う。

今回の民主化運動のデモの画像を見て、世界の人が一般的に感じることは

「何だかよくわからないけど、香港なんだかカオスね、

やっぱり中国だね、近づかない方がいいんじゃない?」

そんなイメージも多いだろう。

「今度の新プロジェクト、アジア進出、

念の為、香港は避けた方が良さそうか。」

アジアから遠く離れた国の会議室で行われている会話が

そんな風にならないか心配だ。



小さい場所ではあるけれど治安が良く競争力もあり、投資先として魅力的。

そして人々は知的で理性と道徳心を持ち合わせた香港というイメージを

世界に持ってもらうのはとても大切な事だと思う。

今回のニュースが世界を巡って、世界の人々が思うのは

香港の民主化支持!香港加油!そういう意見ももちろん多いだろう。

その一方で、悲しいかな、

デモをしている人たちは

香港経済を停め、学ぶ権利を自ら放棄する学生たち。

学ぶのを放棄するだけでなく、学びたい学生たちも影響を与え

学ぶ機会が奪われている、そんな意見もあるだろう。




約束された2047年は、

33年後というそう遠くない将来、必ずやってくる。

そう遠くない将来だけど、その時、私たち大人が

今の学生さんたちを体を張って守ってあげられるかといったらどうだろう。

そりゃ、中には兵庫の岩谷議員のように69歳になっても

全力疾走できるくらい元気なじいちゃん、ばあちゃんになってる

私たちもいるかもしれない。でも、33年後といえば

自分たちはもう足腰も覚束ず、守ってあげるどころか

その人生そのものが終わっていても何らおかしくはない年月だ。



その時に、天然資源がなく人口も少ないこの香港に生まれた今の学生たちが

「中国の事、アジアの事なら、自分たちに任せてよ、ふんっ!」と

平然と言ってのけ、欧米諸国と中国の両方から仲介手数料を得られるくらいの

そんな燐とした強かさを持ち、自立した生活を送れるよう

その下地を整えるのが、今、大人たちにできる事の1つなのではないかとそう思う。




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